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相続は被相続人の一切の権利義務を相続人が承継する制度なので、原則として被相続人の全ての財産が相続の対象になります。
したがって相続手続に際しては、被相続人の全ての財産を明らかにする必要があります。具体的には預貯金、債権や不動産等の調査をすることになります。また、消極財産(借入金債務等)も明らかにする必要があります。
価額の変動のある遺産、例えば不動産についての評価時点は、相続発生時(被相続人の死亡時)とする見解と遺産分割時(遺産分割が現実に行われる時)とする見解があります。
実務の大勢では遺産分割時が基準時とされています。
もっとも、相続人全員の合意があれば相続発生時を基準にすることも可能です。
相続手続においては、不動産物件の所在や種類のみならず、価額の調査も必要です。遺産分割の前提となるからです。
遺産分割は、遺産分割協議時点の時価をもとに行うのが原則です。
ただし、不動産の時価は、把握しづらく、実務上は相続税評価額(路線価方式または倍率方式)をベースに遺産分割を行うケースも多いです。
土地には4つの価格があるといわれることがあります。①時価(実勢価格)、②公示価格、③相続税評価額、④固定資産税評価額のことをいいます。
遺産分割においては時価で評価するのが原則です。時価を算出するには付近の売買事例、不動産の店頭案内、新聞の折り込み等で、坪当たりの時価を推定します。この方法がとれない場合は、鑑定を行うこともあります。
土地の③相続税評価額を国税庁のHPや税務署から入手し、これを目安として評価することも多くみられます(一般的には相続税評価額は時価のおよそ8割といわれています)。
土地同様に時価で評価するのが原則です。評価する際には、原価法(現時点で対象建物を建築するために必要となる価格(再調達価格)を算出し、その建物が建造された時点から現在までの経年の減価分を差し引く方法)によるか建物の固定資産税評価額を市町村から入手し、これを目安として評価されることが多いです。
【土地の4つの価格】
①時価(実勢価格) |
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②公示価格 |
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③相続税評価額 |
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④固定資産税評価額 |
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生命保険金が相続財産になるかは、誰が保険金受取人となっているかによって異なります。
保険契約者かつ被保険者 | 受取人 | 保険金の取扱い |
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①亡くなった人 | 特定の人 | 受取人固有の財産 |
②亡くなった人 | 相続人 | 受取人固有の財産 |
③亡くなった人 | 亡くなった人本人 | 相続財産 |