HOME >> 相続・遺言マニュアル >> よくある質問
胎児は未だに生まれていないので権利の主体になれないのが原則ですが、相続に関しては既に生まれたものとみなされ、相続できることになっています(民法886条)。但し、胎児が死亡して生まれた場合は、適用されません。
故意に被相続人や他の相続人を死亡に至らせたり、遺言書を破棄・捏造するなど民法891条に規定された重大な不正行為(相続欠格事由)を行った者は、法律上当然に相続人としての資格を失います。父の遺言書を自己に有利に改ざんした場合、民法上の欠格事由(民法891条5号)にあたり、相続人としての資格を失います。
先祖代々の墓や仏具などの祭祀財産の承継は、本来、相続とは直接関係はなく、相続分には影響しません。したがって、祭祀主宰者であるからといって、多く相続できるということにはなりません。もっとも、共同相続人間の協議により、祭祀を主宰していくにあたっての費用・手間等を考慮して、祭祀主宰者の相続分を多くしてもらうことは一定の理由があるように思います。
ご質問のケースでは、保険金請求権は相続財産にならず、あなたの固有の財産になるのが原則です。 したがって、他の相続人と分割する必要はありません。ただし、夫に他に財産がない等の事情があり、共同相続人間の公平を害するような場合には、例外的に特別受益と認められ持ち戻しの対象となる場合があります。
また、相続税の申告に関しては、生命保険金は「みなし相続財産」として課税対象となります。
相続の対象となるのは不動産や預貯金、現金等のプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。従って、何もしなければ父親の借金を相続し返済しなければならなくなります。ただ、相続放棄をすれば、はじめから相続人ではなかったものとして取り扱われますので、借金を返済する必要はなくなります。相続放棄は、相続が開始したことを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所で行わなければなりません
→相続放棄
相続人が複数いる場合、相続分は民法で以下のように定められています。
相続人 | 各相続人の相続分 | |
---|---|---|
配偶者と子 | 配偶者 1/2 |
子 1/2 |
配偶者と直系尊属 | 配偶者 2/3 |
直系尊属 1/3 |
配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者 3/4 |
兄弟姉妹 1/4 |
相続財産(遺産)は、被相続人が亡くなった時点で所有していた財産だけが対象になるわけではありません。
相続人が複数おり、その中に、被相続人から遺贈を受ける者や生前に被相続人から婚姻・養子縁組・生計の資本として贈与を受けた者(=特別受益者)がいるときは、相続が開始された時に被相続人が有していた財産に、遺贈や贈与の価額を足したものを相続財産とみなします。 ご質問のケースでは、お兄さんへの援助が特別受益と認められれば、その部分についても相続財産とみなした上で、各相続人の相続分を計算します。
→特別受益
相続人が複数いる場合、例えば、被相続人の事業に従事した、財産を提供した、被相続人を療養看護した、その他の方法により被相続人の財産を維持・増加させた者がいて、貢献が特別に大きなものである場合、共同相続人同士が協議でその相続人の寄与分を決め、相続財産から寄与分を差し引いたものを相続財産とみなします。
ご質問のケースでは、ご自身の貢献が寄与分と認められれば、その部分については相続分以外に取得することができます。
→寄与分
未成年者や認知症の方でも相続人であることは変わりません。しかし、判断能力が不十分であるため、本人に単独で遺産分割協議をさせることは、本人保護の見地から妥当ではありません。そこで未成年者については特別代理人制度、認知症等で十分な判断能力がない方については成年後見制度を利用して遺産分割協議を行います。
遺産分割協議は共同相続人全員でされなければ無効ですので、行方不明者がある場合には特別の手続が必要です。行方不明者の状況に応じて、不在者の財産管理人選任手続、失踪宣告手続を行う必要があります。
公正証書遺言は法律専門家である公証人に依頼して作成する遺言をいいます。
公正証書遺言は法律専門家である公証人が作成するため、方式、内容が無効になる可能性が他の方式に比べて低いといえます。遺言者の意思を実現するためにもっとも確実かつ安全な方式です。
被相続人の兄弟姉妹以外の相続人には、遺産に対して、遺言書があっても奪うことのできない一定の割合の権利があります。これを遺留分と言います。
あなたのお父様の遺言は、子であるあなたの遺留分を侵害していますので一定の割合の権利があなたに認められます。遺留分の割合は以下の通りです。
遺留分権利者 | 遺留分 | 各相続人の 遺留分割合 |
|
---|---|---|---|
配偶者と子 | 1/2 | 配偶者 1/4 |
子 1/4 |
配偶者のみ | 配偶者 1/2 |
||
子のみ | 子 1/2 |
||
配偶者と直系尊属(父母など) | 配偶者 1/3 |
直系尊属 1/6 |
|
直系尊属(父母など)のみ | 1/3 | 直系尊属 1/3 |
→遺留分
相続があったこと及び遺留分侵害を主張すべき贈与・遺贈を知ったときから1年以内に権利を行使する必要があります。
遺留分減殺請求は遺留分を侵害している者(遺贈などを受けた者)に対して遺留分減殺請求を行う旨の意思を表示することによって行います。方式が法律で定まっているわけではありませんが、意思表示の有無や時期が争われることもあるので一般的には(配達証明付きの)内容証明郵便で行います。
国税は、金銭で納付することが原則ですが、相続税については、延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、その納付を困難とする金額を限度として、申請書及び物納手続関係書類を提出の上、一定の相続財産による納付が認められています。