遺言書がある場合でも、法律上要求される手続、要件を満たしていない場合には遺言書の効力が生じないことがあります。とくに専門家に相談することなく本人が自筆で書いた遺言書等は一度確認した方がよいでしょう。
また、お亡くなりになった本人が重度の痴呆症で遺言書を書けるはずもないような場合、遺言能力が問題となり、遺言書が無効となる場合もあります。
遺言書が無効な場合、相続人全員で遺産分割協議をする必要があります。さらに、遺言書があっても相続財産の分配方法に記載漏れがあるような場合には、当該財産について遺産分割協議をする必要があります。
被相続人は遺言により、財産を自由に処分できるのが原則ですが、相続人には、最低限度の相続財産を必ず得られる権利が与えられています。これが遺留分という制度です。
したがって、被相続人が1人の相続人に全財産を相続させるという遺言を残したとしても、他の相続人は遺留分侵害額については、自分に払えということができます。また、遺言書に従うと自分が貰える相続分があまりにも少なすぎるという場合にも遺留分が侵害されている可能性があります。
遺留分侵害額請求権の行使方法は、相手に遺留分を行使する旨、内容証明郵便などで伝えるのがよいでしょう。ただ、実際に遺留分侵害額請求権を行使する際には、相続財産の評価方法で争いが生じる等、法律上の問題が生じることも多く、裁判を行わなければ適正な権利行使ができない場合も多々あります。
また、遺留分侵害額請求権は遺留分権利者が相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときには権利を失ってしまいますので、迅速かつ的確に対応する必要があります。遺留分侵害額請求は、弁護士にお任せ下さい。
当事務所では遺留分侵害額請求に関する相談、内容証明郵便による通知書の作成、相手方との任意交渉、調停の申立て、訴訟の提起などの業務を行っています。
※法改正により、令和元年7月1日以降に発生した相続については、従来の遺留分減殺請求制度(原則として現物返還、例外として金銭請求)から、遺留分侵害額請求(金銭請求のみ)制度に変更されました。なお、令和元年6月30日までに発生した相続については、従来の遺留分減殺請求制度が適用されます。
弁護士費用は、遺留分侵害額請求を求める額(経済的利益)を基準に弁護士報酬規程を当てはめて計算します( 別表2をご参照ください)。
例えば遺産総額6,000万円、法定相続人として子が4名いて(妻なし)、子のAに全財産を相続させるとの遺言がある場合、遺留分侵害額請求するB様よりご依頼を受け交渉を行うときには、着手金・報酬金の額は計算上以下の通りとなります。
遺産全体:6,000万円
遺留分額:750万円(8分の1)
着手金:300万円を超え3000万円以下の場合 計算式「5%+9万円」(税別)
750万円×5%+9万円=46万5千円
上記の3分の2=31万円(税別)
報酬金:300万円を超え3000万円以下の場合計算式「10%+18万円」(税別)
750万円×10%+18万円=93万円
上記の3分の2=62万円(税別)
上記金額は別表2に基づき計算した一例です。事案によって、報酬規定通りでは高額にすぎる事案では減額させて頂いております。弁護士費用の支払方法は柔軟に対応させて頂いておりますので、費用の点はご心配なさらず、まずはご相談下さい。